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日々の妄想を書き綴る
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『アリエッタ、お前達の事、嫌い、ですっ!!』
『アッシュを殺す奴等、大っ嫌いっ!!!!』






『ルーク』がこの世に生を受けてから、私達はずっと『ルーク』を見守っていた。
傍に寄り添い、時折ルナが子守唄を歌いながら彼を見守っていた。
ある時、そう、それは彼の五つの誕生日だったか、彼の目に私達が映った。
驚いて兵を呼ぼうとしたのも今では良い思い出だ。

彼は恵まれていたけれど孤独だった。
愛らしい婚約者が居ても彼の孤独は癒せなかった。
彼はずっと前から気付いていた。
周りが求めるのは自分では無く、預言に詠まれた『ルーク・フォン・ファブレ』だと言う事を。

時折悪夢に魘され続ける小さな小さな子供に私達は何も出来ない。
彼の本当の両親よりも、彼の婚約者よりも、彼の誕生を詠んだ彼の少女よりも、私達は彼を愛しているのに、こんなにも大事に想っているのに、彼の孤独を癒す事は出来ない。

嗚呼、私達はあの子に幸せになって貰いたかっただけ。
小さな子供が孤独に泣くことすらも出来ないなんて余りにも悲しかった。
嘗て、彼の様に世界に生を受けた私達の同位体は皆人間に奪われてしまった。
己の寿命すら全う出来なかった可哀想な子達。
私達に還る事すら出来なかった悲しい子達。
私達は、彼にそんな思いをして欲しくない。

彼の焔が二つに割れて、一つが二つになった時、彼の瞳に私達が映る事は無くなった。
ダアトでの辛い日々が、私たちの存在すら忘れさせてしまった。
それが酷く悲しかったけれど、彼と同じ焔であるもう一人の小さな小さな子供が彼の理解者になってくれたらと願っていた。
『ルーク』が『アッシュ』を知って、『アッシュ』に『ルーク』を知って貰いたかった。
だって彼等はお互いに唯一無二の存在だったから。
彼は最初、自分の片割れを拒んでいたけど、次第に受け入れていってくれた。
あの子は寂しい子だったから、愛される事を知って欲しかった。

でも、






シルフの嘆きが鼓膜を震わせ、ヴェスペルは瞳を伏せる。
彼女達が嘆いているのは今日出会ったあの青年に対してだろう。
サラの話しの後、もう一度納得させるようにパッセージリングの耐用年数が限界であった為にアクゼリュスは自然崩壊だったと説明を受けた。
幸い元神託の盾の六神将三人とサラが予め彼等の避難を済ませておいてくれた為に死者は出なかった。
だがその後の問題は彼女、ルークがアッシュのレプリカであり、彼が本当の『ルーク・フォン・ファブレ』だったことだった。
理由は良く分からないがそれを知ったナタリアが嬉しそうにアッシュを見つめ、反対にガイは仇を見るような目で睨み付けていた。
ジェイドは何も言わず唯二人を見ているだけで、アニスとティアに関しては完全に蚊帳の外だった。
ナタリアが約束の話をした辺りで、今まで無表情だったアッシュの表情がほんの少しだけ苦悶に歪んだ。
それを見咎めたアリエッタが守る様に彼に抱き付き、こう叫んだ。

『アリエッタ、お前達の事、嫌い、ですっ!!』
『アッシュを独りにさせる奴等、大っ嫌いっ!!!!』

その剣幕に驚いたのは自分達だけでは無かったようで、アリエッタに抱き締められているアッシュも自分の今の状態が分からず目を丸く見開いていた。
シンクはそんなアリエッタに溜め息を吐くと二人の手を握って退出を促す。
途中ルークに声を掛けて、慌てたように付いて行った事から、恐らく共に行くことを勧められたのだろう。

「何だったんですの、急に……」
「さぁな。だけど、あの子はアッシュの事が本当に好きなんだろう」

誰も気付かなかった些細な表情さえ見逃さない程に。

「兎に角、大地降下は進めた方が良い。アクゼリュスでああなんだ。他のパッセージリングだってどうなっているか分からない」
「……そうですね。確かに貴方の言う通りでしょう」
「御理解、感謝するカーティス大佐」

丁寧に頭を下げるサラにジェイドはいいえ、と首を振る。
彼の視線はまだ自分に聞きたい事がある様だったが、それに気付かない振りをしてサラは部屋から出て行く。
それを目で追ってヴェスペルは小さく息を吐いた。






その光景にサラは思わず疲れを忘れて噴出してしまった。
ルークは相変わらず困った様にアッシュを見ているし、アッシュは酷く機嫌が悪そうに腕を組み、眉間には皺を寄せていた。
そんな二人を嬉しそうに見つめているのはアリエッタで、爆笑しているシンクは腹を抱えてベッドに横たわっていた。

「お揃い、ですっ!」

二対の色の違う赤いツインテールが目の前で揺れている。
アリエッタは昔からアッシュの髪で遊ぶのが好きだったが、まさか早速ルークまで標的にしてしまうとは侮れない子だ。
いや、ルークもアッシュもツインテール自体は似合っている。
アリエッタに前髪を下げられたアッシュは普段より幼く見える。
だが、似た顔でも性別の壁が此処まで高いとはサラも思わなかった。

「いや、二人共可愛いよ……」
「嬉しくねぇっ!!」

だろうよ。

喉の奥で笑い続けるサラはルークの視線が自分の仮面に集中していることに気付き、それに触れる。
頭の後ろで結った紐を解き、顔を曝せば翡翠の瞳が驚愕に更に大きく見開かれた。

「……ヴェス!?」
「やっぱり似てるか」
「うん、だけど、何で………?」

ルークの疑問は尤もだ。
彼等の前では話せなかったことを、この面子でなら大丈夫だろうと判断したから仮面を取ったのだから、彼女への質問にはしっかりと答えるつもりだ。

「さっき、私がノームの同位体から創られた存在だと話したよね。だけど、だからと言って私はノームの同位体では無い」

本来の同位体はあの子だ。

「私の情報を元に創られた、"本当"の同位体。何故私が先に創られたのかは割愛するけど、ヴェスはノームの同位体としてこの世に生を受けた。だけど、」

あの子は死んでしまった。

「もうずっとずっと昔の話だ。世界を救う為に世界に殺されたノームの同位体。あの子だけじゃない。他の同位体達も人知れず世界を救い、強すぎる力を恐れられて人間に、世界に殺されてしまった」

覚えている。
覚えている筈なのに。
彼等の顔と名前がどうしても出てこない。

「ルーク、ヴェスには私のこと内緒にしてな」
「え?でも、」
「あの子は確かに私が知っているヴェスだけど、あの子は私を憶えていないから」

なら今はまだ忘れたままで居て欲しい。
あんな辛い事、思い出す必要は無いんだ。

髪を二つに括っていたリボンを取り、アッシュは数回自分の髪を梳くとその手でサラの頭を殴る。
不意打ちの攻撃にもろに舌を噛んでしまい蹲る彼女をやはりシンクは笑った。
一度笑い出すと抜け出すのは大変らしい。

「情けねぇ面曝してんじゃねぇ」
「……君だけには言われたくないよ。さっきのツインテール可愛かったのに」

涙目で反撃すれば元々沸点の低い青年がサラに食って掛かる。
それを何処吹く風で流しながら、血の味のする口内に眉を顰めた。

「……いつも、ああなのか?」
「大体はね」
「……アッシュも?」
「はい、です」

キュッとルークの手を握るアリエッタは可笑しそうに微笑んだ。
シンクは上体を起こし、仮面の下からどつき漫才を繰り広げる二人を見る。

「やけに物知りだなとは前から思っていたけど、あれは全部サラが経験したことだったんだね」
「でも、サラはサラ、です」

そう、人間で無いからと言っても彼女は彼女の儘なのだ。
何者にも変えがたい自分達の家族。









「て、言うか止めなくて良いのか!?」
「殴り合いになるまで放っておいても構わないよ」










ふぁい、ここまで!!
こんな感じでにょたルクの逆行短編を普通に短編の方で載せていきます
にょたルク可愛いよう
アシュにょらルク可愛いよう!!お持ち帰りしたいぃいいいい!!

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