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日々の妄想を書き綴る
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身体が酷く重かった。
もう何もしたくない。
まるで鬱病患者の様な気分だ。
 
沙羅はエントランスにあるソファに座り、直ぐ真横でリンドウの帰りを祝福している喧騒から意識を遮断した。
確かこの後、榊博士のところで検査がある筈だが、もう立ち上がってエレベータに乗る気力も残っていそうにない。
このまま此処で寝てしまおうかとも考えたが、誰かに寝顔を見せるなんて事は極力控えたかった為、今にも落ちそうな瞼を無理やり上げる。
アナグラの照明が目に痛かったが、直ぐに慣れ、沙羅は重い身体を起こした。
エレベーターに向かう途中喧騒の中へと視線をやれば、その中心にはいつの間にかソーマが居た。
どうやら無理矢理引っ張られてきてしまったらしい。
やりたい放題なリンドウに対して救援を求める様な視線を投げ掛けてきたが、それに緩く手を振り沙羅はラトボラリへと向かった。
 
 
 
 
 
「いや~、下の喧騒が此処まで聞こえてくるよ。本当にみんなリンドウ君が帰ってきて嬉しいみたいだね」
「そのようですね」
「おや、君は違うのかい?」
 
榊の言葉に沙羅は億劫そうに首を振る。
そういうわけでは無い。唯単に疲れただけだ。
ずっと働きっぱなしだったような気がするが、その記憶すら曖昧だ。
気が抜けたとでも言うのか、当分何もしたくない気分になる。
 
「君のお陰だね、アナグラの雰囲気が一気に明るくなった」
「…………そう、ですか」
 
でも、結局、私は………、
 
言い掛け、半開きになった口を閉じると、沙羅は研究室のソファに寝転がる。
恐らく今は誰も来ない筈だから、少しは眠れるだろう。
榊博士になら初めの頃にも寝顔を見られたのでさして気にする必要も無いと感じた。
 
まどろんでいたら、いつの間に移動してきたのか、沙羅が横たわっている隣に榊も腰を掛けた。
今にも寝そうな自分に遠慮してか、彼にしては控えめに沙羅に問う。
 
「君は今、何を思っているんだい?」
「………?」
「今にも泣き出しそうな顔をしているよ」
 
榊の言葉に沙羅は自分の心を探ってみる。
あの時、リンドウを助けられたのは本当に良かった。
これは嘘でも偽りでも思い込みでも無い。
彼が帰ってきたことで自分の仕事も恐らくは半減するだろうし、アラガミ化した彼の腕は更なる戦力になってくれるだろう。
自分の部隊が元気になってくれた事に安堵した。
榊の言うとおり、アナグラの雰囲気が明るくなってくれたのも良い事だと思う。
だが、それに反して自分の気分はどんどん落ちて行ってしまっている。
軽く鬱病なのかもしれない、これは。
 
「………榊博士……、私、安心したんですよ、本当に……。彼が帰ってきてくれて」
「うん、」
「でも、何だろう………気が抜けたのかな?身体が重くて、眠いんだ……。博士、私は……」
 
私は、いったい何なんでしょうか……?
 
辛うじて聞き取れた声に榊は何と言っていいのか解らず口を噤む。
その間にも沙羅は深い眠りへと誘われ意識を手放した。
 
 
 
 
 
 
見失った価値
 
(それでも時間は止まってくれない)












主人公が病んでいる
これもきっと帝王牙だ出ないせいだ!!!

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