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日々の妄想を書き綴る
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だから、目立ちすぎだって!










偽りなんかじゃない
そう、絶対に






瘴気が何故存在するのか、彼等は考えた事があるのだろうか。
音素まで穢れきった土地では生命は育たない。
魔界<クリフォト>ではノームの声もシルフの声も届かなかった。
雷鳴が轟き、紫色の空の下ではアクゼリュスと共に落ちてきた一同が辛うじて皆助かっていた。
そんな中、アリエッタはルークの前に彼女を庇うように立ち塞がり、彼女の仲間を睨んでいる。

「根暗ッタ!そこどきなってば!!」
「い・や!!アリエッタ、根暗じゃないもん!!!アニスの、馬鹿!!嫌い!!」

ヴォルトすら掻き消されそうな声量で叫ぶ少女にアッシュは目を見張る。
怒りで肩を震わせる少女の後姿をルークは困惑したように見詰めるしかなかった。

「ルークの、所為じゃ、ない!!総長の、所為!!!」
「何でアンタがルークを庇ってんのよ!?敵でしょう!?」

元々語量が少ない少女は何をどう説明して良いのか分からず、悔しげに唸る。
見かねたシンクが助け舟を出し、ヴァンの企みを事細かに説明した。
チラリとアッシュに視線を向けても彼は心此処にあらずの状態でアリエッタとルークを見ている。

「だとしても信じ難いわ。パッセージリングを消せるのなんて超振動ぐらいじゃないの?」
「アンタさぁ、人の話し聞いてた?」

パッセージリングは元々耐用年数が限界に来ていたのだ。
それこそいつ壊れてもおかしくないように。

「ですが、私には良く見えませんでしたけれども、確かにあそこにはもう一人女性の方が居ましたわ」

ナタリアの言葉に三人は微かに肩を震わせる。
そう、あの時あの部屋にはサラが居た。
恐らく彼女はヴァンよりも先にあの部屋に居たのだろう。
だがセフィロトにはダアト、アルバート、ユリア式封咒が掛けられている。
それを彼女が一人で解除したのか。

「彼女は、味方なんですの?」
「味方、です!サラは、アリエッタ達に、信じろって、言った!!」

悔しそうに目に涙を溜め、胸に抱いた人形をきつく抱き締める。
信じているのだ。
魔物と話せるからといって化物扱いされた自分の頭を優しく撫でてくれた掌を。
本当のイオンが死んだ時も、墓すら立てて貰えなかった彼の為にサラが人知れず森に彼の墓を立ててくれたその優しさを。
独りが怖いと泣いて縋った時に抱き締めてくれた彼女の体温を。
偽りなんかじゃない。
そう、絶対に。

「でもさぁ、そんな事言ってもそれが嘘だったら、」
「嘘じゃねぇよ、悪かったな」

紫色の霧を掻き分ける様にその場に現れた女性は馬鹿にした様に歪んだ表情で嗤った。
それまで黙っていたアッシュがエメラルドの瞳に怒りを滲ませ、シンクが止めようと伸ばした腕をかわしてサラの前まで大股で歩いて行く。
手を伸ばし、胸倉を掴み上げて、アッシュは怒鳴った。

「貴様、何故ヴァンよりも早くあの場所に居た!!?」
「………アッシュ、」
「奴等が、ヴァンがあの場所に辿り着いたのは導師がダアト式封咒を解除したからだ!!だがお前はっ、」
「アッシュ、話すから。ちゃんと話すから、離せ。………な?」

仮面の所為で表情は判らないがやけに呼吸が速いことに気が付く。
視線を下に移せば小さな血溜まりがあり、彼は思わず息を呑んだ。
どす黒く濡れた脇腹辺りに触れれば、べったりとした黒く、鉄錆臭い液体が掌に付着した。

「脇腹に裂傷、肋骨二本骨折、右足骨折、左腕切断ってとこかな」
「お、前……」
「完治するまでに約一時間かな?左腕くっ付けたいんでどっか休める場所ある?」

ぶらぶらと右手に持った左腕を振れば前方の方から引き攣った短い悲鳴が聞こえる。
流石に女性にとってはショッキングな光景かと思いつつも彼女は左腕の切断面を見る。
綺麗に切れているのでくっ付けるのに時間は掛からないだろう。
元々義手なのでそこまで左腕に重要性を感じていないサラは唖然とする一同に視線を向けた。

「タルタロスに移らないか?此処で押し問答していてもしょうがないだろう?」
「………確かに、ね。アッシュ、僕はサラを連れて行くからアリエッタとそいつ等連れて一緒に来てよ」

促す様にシンクに肩を叩かれたアッシュは我に返りアリエッタに視線を移す。
心配するように見詰める少女の後ろに居るのは困惑の表情を浮かべる自分のレプリカ。
彼は少女から目を逸らしシンクとサラの背を追った。

アリエッタはルークを見上げ、次いで沈黙を貫いていたヴェスペルに視線を移す。
サラと良く似た顔。
態度には出さなかったが、シンクとアッシュも驚いていたことだろう。
少女の視線に気付いたヴェスペルは小さく小首を傾げた。

「……ママが、話していた人、ですか?」
「……?」
「アリエッタの、ママ。ライガのママ。ママが、貴方の事、話してた」
「君は、ライガ・クイーンの」

クイーンの名前が出た事によりルークもアリエッタを見る。
間違いでは無いと分かった少女は花が綻ぶ様に笑うと人形を抱え直し、口を開いた。

「ママが、貴方と話せて楽しかったって、言ってました。あと、ルーク」
「な、何?」
「ライガママを、助けてくれて、ありがとう、です。お陰で、元気な兄弟、生まれた、です!」

その場にそぐわない綺麗な笑みに、ルークは一筋涙を零した。









たとえ今は小さくとも、いずれ……








オリキャラ主体です
でもそれもあともう少しで終わるよ…
 

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