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日々の妄想を書き綴る
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前回の続き
またしても赤毛が出なくて書いてて苛々してきました←
オリジナル小説からの設定を含むところがありますが、
流してやってください←









またこうして逢えた
それが嬉しかった






瞼を上げれば黄ばんだ天井が視界に入り込み、サラは瞬時に此処が神託の盾内部にある自室だと思い至る。
窓を叩く雨に若干の頭痛を感じつつも上体を起こせば、隣にはいつの間にか潜り込んでいたアリエッタが穏やかな寝息を立てていた。
"先"の世界では死んでしまう幼い少女の髪を優しく梳く。
確かローレライの話では六神将はディストを除いて全員死んだと言っていた。
アッシュとルークが死ぬのも嫌だが、彼らが死ぬのも出来得る限り回避したい。
特にこの少女と彼の少年は。

サラは苦笑しながらベッドから降りると冷蔵庫から水の入ったボトルを取り出し口に含む。
死んで、目覚めて、再び物質世界に舞い戻ってきた。
喉を通る水がそれを教えてくれる。
不意に窓の外が一瞬光り、次いで岩をも砕く様なけたたましい轟音が鳴り響いた。

「"グロム"、いや此処では"ヴォルト"か……。やけに機嫌が良いな」

サラの独り言に答えるように雷が地に落ちる。
その轟音に寝ていたアリエッタが飛び起きて慌てて周りを見渡していた。

「アリエッタ」

呼べば肩を震わせてサラを凝視する。
裸足のままベッドから飛び降りるとタックルする様に彼女に飛びついた。
昔から雷が怖いと言っていた少女はヴォルトが鳴り響く日にはサラの部屋へと逃げ込んでくるようになった。
縋り付いてくる少女を抱き締めて、あやすように頭を撫でる。
少し落ち着いたのか、顔を上げたアリエッタが彼女の表情を見て小さく首を傾げた。

「……サラ、良い事あった、です?」
「……うん、あったよ」

またこうして逢えた。
それが嬉しかった。

「サラが嬉しいと、アリエッタも嬉しい、です」

本当に嬉しそうにはにかむ少女が愛おしくてサラは自分よりも遥かに幼い存在を抱き締める。
彼女の小さな手が自分の頭を慰めるように撫でてくるのに笑いながら、サラは死なせるものかと強く思った。
全てが守れるなんて思わない。
そんな幻想はあの日、最も大切な者を失った時点で気付いていた。
自分はこの両腕が届く範囲でしか守れない。
それでも思う。
大切なモノは何一つ奪わせないと心に誓う。
彼等に降り注ぐ災厄を一つ残らず祓ってみせよう。
そして何より、

「起きた時にアリエッタが居て、嬉しかった」

サラ<死を齎す者>からも守ってみせよう。






朝再び目覚めて日付を確かめれば自分が彼等から一年間行方不明になるきっかけの任務が入っていた。
確かあの任務の真相はアッシュに近付き過ぎてヴァンに厄介払いの為に告げられた任務だった筈。
半年間軽い記憶障害に陥って漸く動けるようになったと思ったらダアトでは自分の存在が既に死んでいると判明した。
貯めていた貯金も全てヴァンに取られ、一文無しでギガントモンスターに半ば八つ当たりしながら生計を立てていたような気がする。

苦い記憶を振り払うように頭を振り、今日の任務を回避するべく行動を開始した。
向かうはヴァンの執務室。
リグレットが居たら面倒臭そうだな、と思いつつサラは数回ノックし、許しを得て中へと入る。
幸いリグレットは居ないらしい。
運は自分に味方したと内心で安堵の溜め息を吐いてヴァンに視線を合わせた。

「今日入っていた任務、諸事情で行けなくなった。代役を立ててくれ」
「急だな。……理由を聞こうか」
「良いのか?本当に聞いても良いのか?聞いて後悔するなよ」

無表情で畳み掛けるように確認を取ると、サラはオクターブ低い声でその理由を答える。

「生理」
「………分かった。任務には変わりにリグレットとラルゴに行って貰う」
「諸事情甚だしくてごめんね、総長。後よろしく」

嘘は言っていない。
前回の自分がそれでも任務に就いたのを考えるとどれ程健気か窺える。
昔の自分は今まで生きてきた中でも結構な良い子だったが、今回はもう面倒臭いので目的だけを追い続けようと決めた。
正直言って頭を使うことが余り好きでは無い。
彼等意外皆殺しにするかと物騒な事を考えてみるがそれではヴァンの目的を手伝ってしまう事になる。
それは流石に避けたい。
寧ろヴァンの目的を粉々に砕いてしまいたいのが本音だ。
今やるべき事は一年後に備えることだろう。

「あー、腹痛ぇな…チクショウ」

小さな声で呟かれた声音は誰の耳に届くことは無く、空気に乗ってそのまま消えた。









罪深い私でもそれだけは赦してほしい












ホントに赤毛がでねぇな!!!
サラさんは結構こんな感じです
ヴァンに対しては特別何かを感じている訳ではないけれど
ああ、可哀想な奴だな、ぐらい
それは同情でもなく、唯の他人に対する思いだけど
赤毛達が彼に懐いていたのを知っているから生かしたいなぁ、と思ってるかも
書いてる自分でも分からない

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