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日々の妄想を書き綴る
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書きたい所だけ書く逆行ネタその1
今回はオリジナルキャラしか出てきてません、すいません!!
それでもよろしければ!↓











目を開けたら真白い空間に居た。
彼女は数回瞬きして辺りを見渡すが、次第にその行動に意味が無いと悟り小さく嘆息する。
次に試みたのは自分の記憶を遡る事。

自分の意識は気の遠くなる程の時間を生きていた。
そんな中見つけた自分の同類とも言える存在。
まだ幼かった、紅色の髪が特徴だった少年。
彼は第七音素集合体<ローレライ>の同位体だった。

孤独な少年を見つけたのは偶然だった。
無謀な任務で疲れ切った身体を休める為部屋に戻れば外から騒音が響き、心底煩わしかったのを覚えている。
怒りに任せ、騒がしくしていた報復に投げ飛ばした兵士に混じってその少年が居た。
受身も取れず背中を強か打った所為か、咳き込む少年を抱えて部屋に戻り、治療した。
今思えば自分の第一印象は最悪だったのだろう。

だが、それも全て終わってしまった事。
自分は自分の目的を果たしたが故に死んだ。
サラは上体を起こして虚空を睨み付けた。
何かが其処に居ると感じて。

「いい加減に姿を現したらどうなんだ?」

ローレライ?

嘲る様にそう言えば今まで何も無かった空間が歪んで神々しい光が現れる。
それは次第に人の形に姿を変え、緋色の髪をした長身の男性がサラの目の前に佇んでいた。

『………よく我だと判ったな』
「他の音素集合体とは気配が違った。どちらかと言えばアッシュに近い気配だったからな。直ぐに判ったよ」

緋色の長髪と紺碧の瞳。
アッシュと良く似た男は痛ましそうな表情を隠すように俯いたのを見て、サラは訝しむように眉間に皺を寄せた。
ローレライが居ることから此処は音譜帯なのだろうが、何故自分が此処に居るのかが解らない。
何より自分は彼に預かっていたモノ全て返したら消え逝く筈だった。
彼女は拭いきれない嫌な予感に胸を締め付けられながらもローレライに疑問を投げかける。

「ローレライ、何があったんだ?私は本来なら何処にも存在しない筈だ。なのに概念はこうして残っている。そして何故そんな悲しそうな顔をする?此処が音譜帯なら、お前はアッシュとルークによって自由になったんだろう?」

二千年越しの悲願が達成したのだ。
何を悲しむ必要がある。

彼は一瞬逡巡した後に口を開いた。
サラはそれを邪魔しないようにと自身の口を閉じてローレライの言葉を待った。

『………アッシュを此方に連れ戻した』
「此方って、どういう事だ?」

ローレライは手短にエルドラントでの出来事をサラに話す。
アッシュとルークが罠にはまり、アッシュが残り、死んだこと。
先へと進んだルークがヴァンを打ち倒し自分を解放したこと。
そして彼等の間で起こった大爆発。
ルークの音素はアッシュに吸収され死んだアッシュが生き返ったこと。

『アッシュはルークの願いとルークが己の仲間と交わした約束を果たす為、生きる事を決めた。だが、』

彼等はアッシュを認めなかった。
彼等が求めていたのは"ルーク"で"アッシュ"では無かった。
彼の姫とて仲間が居る手前素直には喜べなかった。
既に半身を喰らって生き延びてしまった事実に心が壊れてしまっていたアッシュは諦めてしまった。

『見ていることが出来なかった。我とアッシュの間に大爆発を起こし、此処へと連れ戻したのだ』

大爆発は完全同位体の間でしか起こらないと聞いたが、相手は未だ未知の第七音素集合体。
人間の理屈と理論を提示したところで軽く覆されるだろう。

「じゃあ、アッシュは今お前の"中"に居るのか」
『ああ。そしてルークの心も』
「心?」
『音素も記憶もアッシュへと流れたが、融合する寸前に心だけは我の中に引き込んだ。お前も同じだ、サラ。消える筈だったお前の心をノームがかき集めて、こうして存在している』

ノームという名を聞いて彼女は褐色の瞳を見開いた。
それに苦笑したローレライがサラの頬にやんわりと触れる。

「私はノームの同位体では無い。それは"アイツ"だろう?」
『だがお前は"彼"の半身だろう?例えイレギュラーな存在だとしてもお前は長い時間、お前の中で"彼"を守ってきた』

ノームは"お前"の事も大事だと言っていたぞ。

頬から離れた手を視線で追いつつ、お人好し、と彼女は笑う。
原罪を取り込んだ大罪人である自分を彼女は助けたというのか。
自分の周りにはお人好しが多いとサラは思う。
アッシュとて同じだ。
何だかんだ言いつつも彼は最初からレプリカを"ルーク"と呼び、屑だの劣化だの罵倒しながらも彼等に協力していた。

嗚呼、なのに彼等はアッシュを切り捨てたのか。
仕方がない事だと思う。
人には優先順位があるのは当たり前の事だ。
もしあの日、アッシュがルークと共に二人で帰還していれば、彼も受け入れられただろう。

だが、それもやはり今更だ。
現に今、アッシュはローレライの下でボロボロになってしまった心を癒すように眠りに着いている。

サラはローレライの"中"もう一つ光を見つけて緩く微笑んだ。

「久し振り、ルーク」

光は彼女の挨拶に応えるかのように点滅している。
橙色の優しい光は弱々しく光る紅の光に寄り添っていた。

「ルークが守っているのか」
『ああ』
「まったく、見せつけてくれるな」

からかうように言えば、激しく点滅する光に彼が恥ずかしがっていることが伺え、サラは優しげな笑みを浮かべる。
肉体を無くしても彼等の心はこんなにも優しくて、脆い。
きっとルークの仲間は知らないだろう。
ルークがアッシュを大事に思うようにアッシュがルークを大事に思っていることを。
生前も今と同じ様に、互いが負った傷を癒すように寄り添っていたことを。
知っているのはギンジと漆黒の翼ぐらいか。

「唯、見ているだけなら誰にだって出来るんだ」
『………』
「でも、それじゃあ何も分からない、知ることが出来ない。アッシュの事もルークの事も。ルークはアッシュを良く見ていてくれた。アッシュもルークを良く見ていた。私はそれが嬉しかった。だからルーク、」

ありがとう。

「"アッシュ"に気付いてくれて、ありがとう」

二人の焔を優しく見つめて、サラはローレライに向き直る。
既に予想は付いているが、それでもその口から何故自分の前に姿を現したか問う為に。

「で、ローレライ。私に何の用なんだ?」
『頼みがある』

厳かに告げる音素集合体にサラ<死をもたらす者>は静かに笑んだ。

『過去に遡り、我が愛し子達を救って欲しい』

彼女の答えは聞かずとも分かる。
彼女は何処までも自分の大切な者には優しいのだから。









不敵に笑うその表情がローレライに向けられた答えだった。












何故サラさんがこうも不敵なのかは後々明かします←
赤毛達には何時でも何処でも寄り添っていてもらいたいですね

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