日々の妄想を書き綴る
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優しく暖かい魂だった。
その魂自体が日溜りの様で、いつだって心に巣食う孤独を癒してくれていた。
不思議だった。
最初は憎んでいた筈なのに。
殺してやろうと思っていたのに。
その憎しみが自分を保つ為のものだったと気付いたのはいつだったろう。
その殺意が言いようの無い悲しみに似た感情に変わったのはいつだったろう。
その存在を見る度に苦しくなった。
どうしてあんなにも綺麗でいられるのかと疑問に思った。
そんな彼が夢にまで見てしまう程に心に深い傷を負っていたのに気付いたのは、
魘されて眠らない夜もしばしばあったと知ったのはいつだったろう。
優しくも哀しい魂。
癒えぬ傷を負った心をひた隠しにして贖罪の為に走り続けた幼い存在。
その強さが羨ましかった。
その優しさに焦がれていた。
その哀しさが愛しかった。
傷付けて、傷付けて、傷付けて。
いつの間にか愛していた。
独りだった自分を孤独から救ってくれた半身。
彼の存在が抱えた罪は本来ならば自分が背負う筈だったもの。
だから分けた。
独りで抱えることが無いように。
これ以上、彼の優しい魂が壊れてしまわない様に。
「ルー、ク……」
白い扉の向こうへと駆けて行った己の半身。
腹部に突き刺さる剣と、白い床に広がる赤が告げるのは己の最期。
最後に見た泣きそうな顔が脳裏に焼き付いて離れない。
「ルー…、ク……」
交わした約束はどうやら守れそうに無い。
きっと彼は怒るだろう。
いや、泣くだろうか。
それだけは嫌だ。
笑っている方が似合っている。
日溜りの中こそ彼に相応しい場所だろう。
嗚呼、でも自分は、あれ程焦がれていた日溜りよりも、
「るー、く」
彼の傍に、居たかった。
それだけが望みだった。
だからこそ、自分は"アッシュ"のままで良かった。
「すま、ない……」
奪い返そうと思っていた。
殺してやろうと思っていた。
だけど、今は。
一つになりたくない。
二つのままで居たい。
独りになりたくない。
二人で居たい。
そう、今更一つに戻れる筈が無いのだ。
自分はあの体温を知ってしまった。
同じ様で全く違う存在を愛してしまった。
その時点で、元に戻れる筈が無いのだ。
「ルーク」
嗚呼、身体から血液が抜けてどんどん冷たくなっていく。
背を走る悪寒が自分の時間があと少しだと告げる。
「後は……、任せた……」
全て託して逝くのは忍びないけど。
それでも自分は常に傍に居るから。
忘れないでほしい。
独りではないことを。
悲しまないでほしい。
自分は彼の中に居るのだから。
「愛し、てる………」
本当の意味で生きたのはこの七年間かもしれない。
そして充実したのは彼と共に居られた時間だった。
共に帰るという約束は守れなかったけど、
共に居るという約束は守るから。
「だから…、泣くなよ……」
記憶の中に残る愛しい人の笑顔に、己の一生が幸せだったと心から思った。
君の傍
『ただいま、アッシュ』
俺の唯一の居場所
私はアッシュにルークの名前を呼ばせたいようです
赤毛は二人とも辛かった分、二人で幸せになってほしいですね
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