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日々の妄想を書き綴る
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彼女との出会いは最悪の一言だった。
まぁ、此方にも非が無いとは言えないでもないが、9割方は彼女が悪い……筈だ。
兎に角、唯でさえレプリカルークの様子を見に行って機嫌が右肩下がりだった所に他の兵士から喧嘩を売られた。
陰鬱とした感情を払拭したいが為にそれを買ったはいいが、途中で乱入してきた彼女に喧嘩両成敗とでも言う様に双方ぼろ雑巾が如く打ちのめされたのだ。
曰く、任務明けで疲れているところ外からの騒音に耐えかねたから、らしい。
投げられ強か打った背中に、朗らかな声で謝罪をしながら湿布を貼り終えた女性は薄く笑うと自分の名を名乗った。

"サラ・アウロラ・ノクティス"

これが彼女の名だった。
声には出さずに口の中で転がすように呼べば、何故だか懐かしい感じがして心が軽くなった。
今度は彼女に名前を聞かれ、悩みながらもヴァンから皮肉を込めて付けられた名を名乗れば、良い名だとまた笑う。
それが悔しくて、本当の名では無いのに皮肉で付けられた名を褒められて、思わず大声で怒鳴っていた。
怒鳴った内容なんかは覚えていない。
唯、行き場の無い感情を吐き出す様に、今日初めて会った女性に対して吐き出していた。

物の数分か、それとも数時間か、痛む喉に手を当てながら軽く咽ていると、彼女はもう終わりかと首を傾げた。

『もう終わり?』
『もう吐き出さなくていいの?』
『少なくとも今は我慢しなくて良いんだよ』
『だからさ、今のうちに全部吐き出しときな』

聞いてるのは私だけだから。

そう言って頭を撫でる手は記憶にある母のものとは余りにも違った。
だけどその手付きが酷く優しくて、怒鳴って火照った身体に冷たい手が心地良くて、今日初めて会った女性に縋り付く様に、此処で生きていくと決めて初めて泣いたのだ。

『それでも君の名前は美しいと思うよ』
『理由?うーん、今は内緒にしておこう』
『君がもっと大きくなって、もっと沢山の事を知ったら、』

その時に教えるって約束するよ。

泣き疲れて意識が朦朧としていた自分に向けた一方的で温かい約束だった。






「いや~、昔は可愛かったのに」

昔の回想を脳内で終えた女性に紅色の髪をした青年は普段より更に眉間に皺を寄せ、エメラルドの瞳で隣で林檎を頬張る彼女を睨み付ける。
どこ吹く風でやり過ごした視線に、その女性を挟むようにして隣に立っていた朱色の髪の青年は大袈裟に肩を震わせた。
恐らく条件反射なのだろう。
既に三つ目の林檎を平らげた女性はルークの様子を見て小さく苦笑する。

「で、理由は?」
「ん?ああ!だからさ、灰<Asch>は君が自虐するように、聖なる焔<Luke>の燃え滓と皮肉って付けられたものかもしれないけどさ、」

私が連想した灰は、灰は灰でも"再生の灰"なんだよね。

そう言って今度は抱えていた紙袋からサンドウィッチを取り出し、頬張る。
いったいどれだけ食べれば気が済むのだろうとルークは感嘆するが、アッシュに関しては今更と鼻で笑うのみだった。

「アッシュとルーク。灰と焔。伝説上の生物で火の鳥<Phoenix>が居るんだけど、そいつは数百年に一度、自ら火の中に飛び込んで焼死し、その灰から再び幼鳥として生まれる。だからアッシュの名は、再生の灰<Asch>みたいに綺麗で神聖なものだと思っただけ」

灰からまた生まれるなんて素敵だよね。

そう言ってルークに同意を求めると、彼は目を輝かせてしきりに首を振っていた。

「色んな事知ってて凄いな、アンタ!」
「おい、待て屑!そいつはオカルト系の事にしか精通してねぇぞ!!」

余計な知識を入れられたら困るのか、ルークの誤解を解こうとしているのか、どつき漫才を繰り広げる二人にサラは可笑しそうに微笑む。

「おい、最後にいい事教えてやる」
「「?」」
「灰は焔を生み、焔は灰を生む。そのサイクルがフェニックスが不死鳥たる由縁なんだ。灰と焔が無い限りフェニックスは不死鳥<Phoenix>で居られない。灰が無い限り火種となるフェニックスと焔は生まれない。その逆もまた然り」

要はだな、

「灰と焔はお互いが無いと生まれることも生きることも出来ない運命共同体だ。仲良くしろよ、再生の灰<Asch>、聖なる焔<Luke>」

ニヤリと笑えば顔を真っ赤にして何か言いたそうに口を開閉するアッシュ。
それを見て、若いなぁ、等と感嘆しながらルークを見やれば、被験者との更なる繋がりを見出したのか、先程より嬉しそうな表情で笑っている。
見た目は同じだが、思春期真っ盛りの18歳と中身は純粋無垢な7歳の反応の違いに内心大爆笑するサラは昔を振り返った。

生きる為に恨み続ける道を選んだ子供。
彼からレプリカの存在を聞いていた彼女はその可能性に賭けていた。
彼が抱く焔が日陰で歩むことを決めた哀しい子供をいつか照らしてくれたらと。
そしてその憎悪が少しでも懐柔し、自分の半身と向き合う事が出来るようになったら、あの約束を果たそうと決めていたのだ。

身体だけ大きくなって傷付きながらも背伸びをして必死になる子供達。
子供でいられなかった重い宿命を背負った子供達。
今はもう見るどころか声すら聞くことが叶わない精霊、音素集合体達に加護を願わずにはいられなかった。








愛しい子達が幸せであるように








サラさんはこんな感じです
アッシュが可愛くて、ヴェスペルが大事にしてるルークを気に掛ける人
ヴェスはその逆
その他はあまり気にしてない
ヴァンの目的とか、世界の危機とか
滅ぶんなら滅べばいいじゃんぐらい
アシュルクをからかうのが趣味
若い子をからかいたいおばさん、みたいな???←

たま~にこうしてオリキャラ混ぜて書きたいと思います
なるべくアシュルクで書きたいですが…

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